コラム 第3回

近年よりもさらに少し遅い気さえしますが、今頃になって゛三寒四温”、春らしさをようやく肌で感じやすくなってきました。

「春になると、何が変わるかな?」

この時期になると、小さなこどもたちに尋ねるのですが、「あたたかくなる」や「いろいろな花が咲きはじめる」などのほか、「あたらしいことがはじまる」といった奥行きのある答えまでが聞かれるなかで、ときどき存在を忘れられているようでもどかしくなるのが、「虫たちがうごきだす」というものです。

虫=キモチワルイ

そう簡単に会話を閉じてしまってはもったいないほど、彼らは良い意味でも私たちを刺激してくれる存在なのです。
この星が我々人間のものだなんて考えは傲慢極まりなく、数の上でいえば、地球は明らかに虫たちの星です。95%を超えるでしょう。いざとなれば人類を脅かす十分な可能性さえもつ彼らの存在を、私たちは無視することができません。一方、彼らのほうでも、人間がどこにでもいるようになったものだから、望むと望まざるにかかわらず私たちの生活線上にうっかり飛び込んできてしまいます。
だったら、特に害のあるものを除いて、否定的に見ないでおいてあげよう、嫌いだとしても理解してあげようというのが、私が大切にしたい考え方です。虫との向き合い方を変えるだけで、こどもたちのなかで育つものが本当はたくさんあるのです。


動きが小さく、ゆっくり。そんな虫を眺めるのは、大変に根気のいることです。長期にわたって継続的に、となればなおさら。自ずと忍耐力が育ちます。
小さな命、繊細な存在ですから、慎重にもの(生きもの)をあつかう心も育まれます。
また、天というデザイナーによって与えられたフォルムとカラーリングにも目を見張るものがあり、私たちの色彩感覚によい影響を与えてくれるだけでなく、そうなった理由゛なぜ、どうして”を考えてみても感心させられることばかり。

彼らは、あの小さな体にまだまだ不思議をたくさん持っていて、その中には私たちの生活に応用できるものがたくさんあります。研究分野も多岐にわたり、ロボット工学とつながる研究も盛んですね。
ハチの体力、トンボの目、バッタの跳躍、クモの糸、アリの情報伝達、蚊の穿刺行動、ゴ○ブリの関節外し……  などなど、彼らの生まれ持ったもの・生み出すものから、体の使い方まで、虫からの小さな発見が、これから私たちの大きな助けになっていくようです。
※一例としてリンクを掲載します。ぜひ、ご参照ください。
 「世界で最もタフな繊維」 http://logmi.jp/2991
 「世界で一番痛くない針」 http://s-park.wao.ne.jp/archives/854


虫好きは、根気強い観察家。
少なくとも、安心できるケース越しにでも虫を眺めることの好きなこどもたちが育ってくれると、先生としては大変にうれしく思うのです。
そのような願いを込めて、虫たちの動きはじめに合わせ、私もこどもたちに虫をテーマとした本を貸出しはじめようと思います。

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