コラム 第7回 〈気まぐれ授業紹介〉

ブログ「本の好きなこどもを育てる」で先月紹介しました『空のおくりもの―雲をつむぐ少年のお話』という作品について、アマゾンには「環境破壊を詩的に警告」した作品だとする高評価のレビューがありましたが、それを読んで、決めつけてしまうことのもったいなさを感じました。アーティストがこしらえた作品というのは、我々受け手次第でいかようにも幅をもつものだと思うのです。



教室では「あなたがどっさりほしいもの」というタイトルで、読後に作文をしてみました。次のような具合です。

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[メモ]
ぼくは、メロンをどっさり買ってもらいたい。
→れいぞうこに入らない。
→家じゅうがメロンだらけになる。じゃまになる。
→いそいで食べるしかない。
→食べあきてしまう。
→食べきれないメロンが、くさっちゃう。すてなきゃいけない。

[まとめ]
ぼくは、メロンをどっさり買ってもらいたいと思った。しかし、れいぞうこに、ぜんぶは入らない。すると、家じゅうがメロンだらけになってしまうし、生活のじゃまになるだろう。
そのため、いそいで食べるしかなくなる。でも、すぐに食べあきてしまうだろう。食べきれないメロンは、すてたり、くさらせたりしてしまうことになる。
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この春2年生になった生徒の書き上げたものです。※
こどもなら、どっさり欲しいものも当然あります。欲しいと思うものを欲しがる理由は、様々でしょう。しかし、あるものをどっさり欲しがった「そのあとはどうなるの?」という、先の展開を【予想する】ことが欠けがちです。ものごとの全体像を意識することと言うこともできるでしょうか。


物語中の王様のように、大人でも目の前のことに夢中になって全体を見落とすことがあります。冒頭で紹介した、幅をもつはずの図書内容を「○○だ!」と言い切ってしまうような見解も、これと同じ構造だと捉えることができます。

【全体を意識する】こと。こどもたちに身につけてもらいたいですね。
もちろん、こどもたちの豊かな想像を現実的な意見で握りつぶすばかりになることのないよう、私たちも心がけなければいけませんが。



※文の“接続”や一部の“文末表現”は、3年生くらいまでのこどもたちには難しいものですので、合いの手を入れるように講師が言葉を与えていって、まとめ文が書き上がったとご理解ください。

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